『番号札19番で お待ちの
“星村 愛”さん』



診察室口から顔を出して
あたしの名前を呼ぶナースさん。



『はい』



返事を一つ。



あたしは
呼ばれた方へと足を運ぶ。



『ここに座って待っててね』



どこへ行けば良いのかわからず
迷っている
あたしに向かって

診察室の前の通路に用意されている
ソファーを指差しながら

微笑んでくれた看護婦さん。



カーテン一枚 挟んだ向こうから
先生と患者さんの声が聞こえてきた。



『順調に育ってるね。
赤ちゃんも元気だよ。』



先程まで居た
ロビーの待合室からは

小さな子供の
お母さんを求めて
ぐずる泣き声が聞こえてくる。