昼休みになると、奈緒は絢と一緒に中庭に来ていた。
朝から様子がおかしい奈緒を心配して絢が連れ出したのだ。
「なるほど。奈緒は三谷君に裏切られたって思ってふてくされてるって訳ね。」
「ふてくされてるって・・・まあそうだけど。」
奈緒は素直に気持ちを話した。
自分でもなんでこんな些細なことでショックを受けているのか分からなかった。
心が重くて体ごと地面に沈んでしまいそうな気分だった。
こんな自分でもあやふやな気持ちをさらけ出せるのは、絢がそばにいてくれるからだ。
穏やかで人当たりのよい性格の奈緒は、クラスの子とも割とすぐに話せるようになる。
けれども本当に心を開けるのは、奈緒の色々な側面を理解して、受け入れてくれる絢だけだった。
「それは奈緒が勝手に思ってるだけだよね。
三谷君の事を信頼しているのはいいことだけど、それは奈緒の一方通行なのよ。」
「一方通行?」


