教室に入ると、いつものように三谷君は前の席で本を読んでいた。


朝日を浴びながら読書する姿は、絵になっていてなんだかまぶしい。



三谷君、裏切りだよ
古典なんてほとんど寝てたのに、学年2位だなんて!


化学をあれだけ上手に解説できるのだから頭がいいのだろうなとは思っていたけれど。
2位をとるということはほかの教科もよほど成績が良いのだろう。



授業を聞いて、テスト前に暗記して・・という型にはまった勉強があまり好きじゃない奈緒は、先生も怒る気をなくすほど授業に参加していない三谷君に(勝手に)親近感を抱いていたのだ。


三谷君も勉強嫌いなんだと思ってた・・・。


登校してきた時の清々しい気持ちはどこへやら、やるせない気持ちになった奈緒はバタンと机に倒れこんだ。