それは、坂城君のセリフで、もう何度も聞いていたはずなのに。 まるで初めて聞いたかのように奈緒の心に刺さった。 ‘信じる’ なんてたくましい言葉なのだろうか。 そうだ、信じてみよう。 三谷君を 隆司を 信じよう。 信じて、 待ち続ける。 訳を話してくれる その日まで。 奈緒は秋の気配が近付く空を見上げて一人誓った。 単純なことなのだ。 強くなろう。