「お母さん あの時はいきなり出て行ってゴメンね?」
私がお母さんにそう言うとお母さんは気にしてないわ と言った。
《それだけ、あなたが想う人が出来たって事よ。》
嬉しいわ と笑いかけてくれる お母さんに心が温かくなる。
《で、その人とはどうなの?》
痛い所を突かれてしまった。
私は話した。
司がアンで 司の事を今でも好きで でもアンには彼女がいること。
お母さんは やっぱりね と言った。
「やっぱり、ってどういう事・・・?」
私が尋ねると お母さんは真剣な目つきで私を見た。
そして
《これは試練なの。》
と告げた。


お母さんが言うには視点が違ったのは自分だと思わせないタメ。
門番さんが言ってた中々会えないの意味はこれだ。
そして前世と視点が違っても 本人かどうか見抜けるかどうかが 私達に与えられた試練らしい。
「そっか!じゃ、司に言ってくるっ」
私はお母さんと反対方向に走った。
司ッ 私だよっ
エリカだよっ!


《エリカ・・・頑張ってね・・・》
って お母さんがそっと言ってくれたのを私は 分かっていた様な気がする。

起きなきゃ。
司 司!
会いたいッ
アンに・・・
逢いたい。