そんな時、唯一の理解者だった

祖母が亡くなり、

稟は悲しみにくれ、

一人で家にいるのに

嫌気がさしたため、

寮制度のある この学校に

入学したのだった。

稟の学力は素晴らしく

外見も、整った顔立ちに

スラッとした身長。

美しい黒髪、そして無口だが

礼儀の正しい性格により

男子生徒だけでなく、女子生徒

からも人気が高かった。

そんな稟には幼馴染みがいた。

同じ学院に通う辻間 玲。

玲と稟は幼少の頃から一緒で

保育園、幼稚園、小学校、中学校

では 無口な玲に明るい稟は

いつも笑顔で寄り添っていた。

しかし その好景も

稟の祖母の死により見ることも

無くなっていったのである。

稟の笑顔が、消えつつあった。

玲はそんな稟を気遣ってか

もっと上の高校に行けたにも

関わらず、稟と同じ学院に

入学したのであった。

稟はその事に気づき、

玲を何度か説得したが

玲の決意が固いと悟ると

何も言わなくなった。

内心、稟は玲の優しさが

すごく嬉しかった。



このころから稟は玲への気持ちに
薄々気づき始めていたのだった。