《完》Honey*TRAP!! 〜副社長の甘い罠 LAST・TRAP〜

そう……ドキドキするのは
きっと、それがあたしに
縁のない言葉だからだ。



あたしには家族と呼べる
相手なんて、昔から
いなかったから。



だからそれがどんな感覚
かもわからないし……

“家族同然”だなんて
言われると、むしょうに
くすぐったくてどうして
いいかわからなくなる。




そんなあたしに最後にもう
一度『本当に今日は
ありがとう』と言って、
社長は去っていった。



まだソワソワしてぎこち
ない動作でジャケットを
羽織ってると、入れ違いに
柊弥がやって来る。



「車出す準備してきた。

送るぜ。

お前はもう大丈夫か?」



「あ、う、うん」