《完》Honey*TRAP!! 〜副社長の甘い罠 LAST・TRAP〜

拭くのを諦めたのか、
柊弥はナプキンを戻し
ながら横目であたしを
見て言った。



口元には穏やかな笑みが
浮かんでる。



「あれ全部持って、オレの
とこに来んの。

――オレと結婚しろ、梓」



「……………!!」





あぁ神様――これは夢?



神様なんて半信半疑の
はずなのに、思わずそんな
ことを思わずにはいられない。



それくらい自分の耳が
信じられなくて、
嘘みたいで……。



「―――泣いてんじゃ
ねーよ、バカ」



頬に触れた指の感覚で
あたしはようやくハッと
我に返り、同時に自分が
泣いてることに気づいた。



その涙を、柊弥は指先で
キュッとぬぐって、



「――嬉し涙だよな、
もちろん?」