《完》Honey*TRAP!! 〜副社長の甘い罠 LAST・TRAP〜

背中に腕を回して、厚い
胸板に頬を押しつける
ようにして。



あたしはありったけの
想いを込めて、柊弥を
抱きしめる。



「ちょっ……何してんだ、
オイッ」



珍しく露骨に慌てる柊弥の声。



わかってる。

奥には社長が――ご家族が
いるんだもんね。



みんなにはあたしはただの
秘書で通してきたのに、
いきなりこんな所で抱き
ついたら、そりゃあヤバいよね。



ゴメンね柊弥。わかってる。



わかってるけど――…。




「もうダメ。柊弥」



あたし、我慢の限界なんだよ。



「―――あ? 何だって?」



胸に顔をうずめて囁く
ように言った声は届か
なかったらしく、柊弥は
背中を丸めるようにして
あたしに耳を近づけた。