《完》Honey*TRAP!! 〜副社長の甘い罠 LAST・TRAP〜

頭を殴られたみたいな
衝撃が走る。



二人の距離や雰囲気から、
ただの知り合いじゃない
だろうとは思ってた。



でも、婚約だなんて……。


それに『昔の』って
言うなら、どうして今、
こっそり会ってたりするの?



動揺と混乱……それに
何よりもショックで、
一言も次の言葉が紡ぎ出せない。



そんなあたしをいたわる
ように、美香子さんは
控えめな声で聞いてきた。



「失礼だけど、あたし――
というか柊弥の昔のことは
何か聞いているの?」



「えっ……」



“昔のこと”。


あたしはそんなの、
何ひとつ知らない。



あたしはうつむいて
首を横に振った。



「何も。

彼は何も、話して
くれませんから……」