でも柊弥はいなかった。



柊弥がいたのは――…。



「………ゴメン」



かすかに震える声がノドの
奥からもれる。



あたしホントは、
知ってるんだよ。


見たから。



ウソついたって、
知ってるんだよ――…。



(なんで……隠すの……?)



「ゴメン。
やっぱりちょっと、
体調おかしいみたい。

今日は――帰るね――…」



ジッとフロントガラスの
向こうの夜景に目をこらして。



あたしは込み上げてくる
涙をこらえるのに、必死だった。





     ☆☆☆☆☆



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