パジャマのままの彼は、窓のカギを外すと、彼女を招き入れる。ちなみにここは三階。良く言えば天井裏の四畳半部屋。悪く言えば物置。
 まあ、今更ではあるが二人は恋人のようなものなので、こんな月の照る夜更けに部屋へ立ち入られるのも、実際のところボクちゃんにとってはやぶさかではない。もちろん、そんな関係になるまでには、半人前の押しかけサッキュバスがターゲット選びの失敗で、いわゆる草食系男子を選んでしまい、意地になりながら、目的を達せられないままくっついてきた……というわけがある。
(OK.OK.バレンタインのときは処女くれる、とかは参ったけど今日なら……だって夜中の零時を過ぎたら)