「あ、奏の言った通りだ」


休憩時間。

ぼーっとしたくて。

だからあの裏庭の桜の木の下にいると碧がやって来た。



「ん?どーした?」


「いや、よーたくん時間なのに戻ってこないから呼びに来たの。

奏が絶対ここにいる、って言ってたから」


ああ、アイツなら俺がここにいることくらいお見通しだよな。



「あ…ホントだ。

もう10分経ってる」


ちょっと桜に見とれすぎたか。



「よーたくんも、奏も、この桜好きだよね」


「あー…そうだな」


癒されるんだ、ホントに。

世間はパワースポットとやらに夢中になって、

わざわざ遠出しているけど、

俺にしてみれば遠出の必要なんかなくて。


この桜の木が俺のパワースポット。



「そう言えばさっきも奏に負けてたね」


「うるさい」


「ホントはああいうふうじゃないんだよ、奏って」


え?

どういうことだ?それ。