「奏ちゃん、今日向こう行ってもらっていい?」


「はい、OKです」


系列の居酒屋へ向かう。

自転車を漕ぎながら思うのはやっぱりよーたくんのことで。


前に再会したときは、

今日みたいにヘルプに行って。

微塵もよーたくんに会えるだなんて思ってなくて。

だから注文を取りに行ってよーたくんの顔を見たときは、

本当にどうしようもないくらいドキドキして。


でもその頃の私は

もう動揺を隠す術を身に着けていたから。

だから、ただ驚いたフリをしていた。


ねえ、期待しちゃうよ。

今日もこの間みたいに再会できちゃうんじゃないかって。

そんな都合のいい話なんてないって分かってるけど。


だけど、期待を抱かずにはいられないの。

よーたくんが何も言ってくれないからだよ。


私には、この気持ちをどこにぶつければいいのかわからない。