「よし、奏。

家はどっちだ?」


「え?なんで?」


「送ってくからに決まってんだろ」


ほら、早く。

と言わんばかりの顔をするよーたくん。


「そんな…」


「そんな…、じゃない!

女の子をこんな時間に1人で帰すワケにはいかないだろ。

それに俺、お前の先生だったんだしな。


ほら、道案内!」


よーたくんに急かされ、歩き始める。


でも、しばらく歩いていても会話がなくて。



「…なんか喋ってよ」


「え?俺?」


「うん。だってよーたくんお喋りじゃん」


よーたくんは露骨に不機嫌そうな顔をしていて。

でも私の頬は緩みっぱなし。



「奏、ホントに俺に対しての風当たり強いよな」


ねえ、よーたくん?

あの日のこと…忘れたの?

私、言ったじゃん。


『どうやって接すればいいのか分からなくて。』

って。


あのときから2年も経ってるけど。

だけど、変わらないんだよ。


私は相変わらず、

よーたくんとの接し方が分からない。


それはまだ、私が…


そこまで考えて、思考をストップさせた。

これ以上、さっきのことを考えたらきっと、

私は今以上にダメになる…