「なんか記念にもらったりした?」 これ以上聞いたところで、 自分自身を傷つけるだけだと分かっているのに。 どうして俺は、聞いてしまうのだろう。 「うん、温泉に行ったんだ。 そのときにコレ…」 奏は胸元に光るソレを俺に見せる。 「…似合ってるよ」 「あがとう…」 それからなぜか 俺たちの間に会話がなくなって。 酔っ払いのイビキが静寂していた車両に響いていた。