「うわあ~!!

おいしそう!」


「早く食べようぜ」


あっという間に時間は過ぎて、

ブラブラと旅館の周りを散歩した私たちが部屋に戻ってくると既に夕飯が用意されていた。


2人で食べきれるのかと心配になるくらいのお皿の数。

でもどれもこれもおいしそうで。


「「いただきます」」

と2人声を合わせて言うと同時にもう箸がお皿へのびていく。


お腹がすいていたこともあってか、

最初は私たちの間に会話はなかった。


でもお腹が落ち着くと

箸が動くペースが遅くなり


「そう言えば」

と、テルくんが口を開いた。



「ちょっと前だけど、

成人式の日、部活の同窓会だったんだろ?

どうだった?」


自然と私の動きが止まる。

でも、テルくんに動揺してることがバレないように


「どうしたの?突然」

と、口を動かす。



「いや、奏自分から言わないし、

なかなか聞く機会なかったから聞いてみただけだよ」


そうだよ、私。

テルくんがよーたくんとのことを気にしてるワケないじゃない。

少し敏感になり過ぎだよ。


と、自分の中で独り言を呟いて、顔を上げる。



「すっごい楽しかったよ」


そう言って私は笑顔を浮かべた。