「よし、じゃあ行くか」


「うん」


結局、あの2人に言われた通り、旅行に行くことにした私。

テルくんが家まで迎えに来てくれて車で旅先へ向かう。



「ホントに温泉で良かったのか?」


「うん。ゆっくりしたかったもん」


「テーマパークではしゃぎたくなかった?」


「…子供扱いしないでよ」


そう言うとテルくんはごめんごめん、と言いながら私の頭をポンポンとする。

やっぱり子供扱いをするテルくん。

1コしか年が違わないのに…


「ん?ご機嫌斜め?」


「…そんなことないもん」


困った顔をするテルくん。



「怒るなって奏。

な?機嫌直せよ」


「だってテルくん、意地悪なんだもん」


「じゃあ、これあげるから俺のこと許して」


ちょうど信号が赤になり、

ポケットから何かを取り出したテルくん。


「ホントは夜にでも渡そうと思ってたんだけど」


目を閉じて、と言われ素直に目を閉じる。

テルくんの気配を近くに感じる。


首にヒヤッとした感覚。


「いいよ、目開けて」


目を開ける。

そして首元を見ると


「あ…お揃いだ」


「前からいいな、って言ってただろ?

だから、それ」


私の首にはテルくんとお揃いのネックレス。


「これで許してくれる?」


「…うん」


頷くとテルくんは嬉しそうに笑って、

私の頭を撫でる。


そして、私は心の中で自分をけなす。


『こんなに優しい彼氏がいるのに私はまた別の人のことを考えてる…』


最低だ、ホントに。

早く、答えを出さなきゃ。