「…奏のその姿、新鮮だな」


「そう?結構似合ってるでしょ」


「まあまあ、ってとこだな」


「そこは褒めておいてよ」


「うん、ごめん。

でもやっぱり制服姿がいいな」


「制服フェチなんだね」


「なんだその引いた感じは!

見慣れてるかどうかの問題なんだからな!

決して制服フェチなんかじゃないっ!!」


必死で言い訳するよーたくんの姿に思わず笑ってしまう。

今日、私は私服でもなく、もちろん制服でもなく、

スーツを着ていた。

なんせ今日は成人式だったのだ。

そしてなぜ高校にやってきたかと言うと卒業式の日にバスケ部のみんなと


『成人式が終わったら高校に集まろう』


と、いう約束を交わしていたから。



「…なあ、奏」


「なんですか?」


「それ…」


よーたくんは私の右薬指を真っ直ぐに見つめていて。



「うん。今、彼氏いるんだ」


私の右薬指にはキラリと光る指輪がはまっていた。