「…っごめん。

続けて?」


ひとしきり笑うとイケメンくんはどうぞ、と手で促す。



「私、若林 奏(ワカバヤシ カナデ)

そっちは?」


「俺は竜崎 ルイ(リュウザキ ルイ)」


「ルイ?」


「そう。ちょっと変わった名前だろ?

種類の類って書くんだ。


じゃあ、前後の席ってことでよろしく、奏」


「あ、うん…」


今…下の名前で呼ばれた?

初対面の男の子に、奏、って言われたよね?

そのとき…キュン、ってしなかった?



…いや、してない!してない!

何言ってんの、私!


ブルブルと首を横に振る。

そして、気づく。


「いないし…」


いつの間にか竜崎類はいなくなっていた。