「何?」

「言うか、言わないか悩んだけど、やっぱり言うわ」

優太郎はなんかモジモジしている。

そして、モジモジするのをやめたかと思いきや、私の目を真っ正面に見つめて、言った。

「真剣な話だから聞いて」

優太郎の目が、私の背筋に緊張を走らした。

生唾をゴクリと鳴らした首で頷いて、私も優太郎の目を見つめる。

「私…いや、俺…」

ハッキリしない態度をする優太郎。

なんだろう、この空気。

「な、なに?」

優太郎の拳が僅かに震えているのが見える。

私の鼓動は、なぜか徐々に早くなった。

そして、暫くの沈黙後、優太郎は意を決したように言った。

「リッピーが好きだ」

−え!?

「よかったら、付き合ってほしい…」

−告白だ!

まさか、優太郎に告白されるとは思ってもみなかった私は、胸がドキドキしてきた。

優太郎の顔はだんだん赤くなっていく。

私の心は、なぜだか一気に高揚した。

同性には、幾度か告白された事はある。

だけど、優太郎といえど、私は男に告白された事は初めてだった。

女に告白されるのとは、全然違う…

耳が熱くなり、顔に血が上っていくのが、自分でも分かる。

−返事しなきゃ。

そう思ったその瞬間、高揚した心は一気に急降下し、地面に真っ逆さまに落ちていった。

−ドスンッ。

破裂しそうなくらい、心が痛んだ。

私は、デリヘルをやっているんだ。

そんな汚い私が、純粋な優太郎と付き合ってはいけないんだ…。

そう思った私は、優太郎に返事もしないで、その場を走り去った。