フツフツと湧き上がる憎悪の念…。

大宮晴貴は、私から友達を奪っただけじゃない。

親父…そして、私の人生も奪ったんだ。

許せない…。

大宮晴貴は許せない。

大宮晴貴を止めなかった、あの女も許せないッ!


私は、出来るだけ平常心を装って、トイレから出た。

心は灼熱に燃えているが、表面は意外に平常心を保てた。

トイレから出ると、良美達がレジでお金を払っている姿が見えた。

それを見るや、私は優太郎の所に戻り、言った。

「優太郎、良美達出るみたいだから、私達も出ようか」

「うん、そうね。」

「今、努がいないから、あんたチャンスじゃない。良美に謝るなら、店を出たら謝りに行きなよ」

「分かったわ」



私達が店を出ると、良美とあの女は、ちょうど別れるところだった。

女が一人、トボトボと歩いて行く。
それをボーッと見送る良美。

「あの二人、別れたね。ほら、優太郎、良美のトコ行きなよ」

「う、うん」

優太郎は、ヨシッと、気合いを入れて、良美の所に行った。

そして一人私は、あの女を追いかけた。
マグマのような心を抱いて…。