「はい、あがり〜」

理沙はそう言うと、持っていたカードをポンと投げた。

「またお前かいッ!何でそんな強いねん!」

富士山ランドで遊んだ夜、俺と陽菜の部屋でトランプ大会が開かれた。

結果は、理沙の連戦連勝。

「ちょっと待てッ!もう一回!たのむわ!」

乗り気じゃなかったのに、いつの間にか熱くなっているし…。

「ハァ?もういいって。勝負ついたでしょ?」

「まだついてへんて!」

「ダメだね、もう夜遅いし。良美、部屋戻ろ」

理沙と良美は、俺達とは別に予約した為、部屋が違う。

「そんじゃ、おやすみ」

理沙はそう言って、良美を連れて出ていった。

「くっそー。一回くらい勝たせろや!」

負け犬の遠吠えを横目に、陽菜は笑って言った。

「あはは、努は勝負事向いてないみたいだね」

俺は「はぁ」と溜め息を吐いて、煙草をくわえた。

「今日は理沙達を呼んでしまってごめんね」

陽菜は申し訳なさそうに言った。

「ん、まぁ楽しいし別にええけど。バス停で理沙達を見た時はちょっとショックやったけど」

俺がそう言い、煙草に火を点けようとした時、陽菜がいきなり腕に抱き付いてきた。

「えへへ」

「わ、何?」

思わずライターを落としてしまった。

「ううん、何でもない」

「何やそりゃ」

ライターを拾い、煙草に火を点ける。

陽菜は腕に抱きついたまま、理沙達を呼んだ訳を語った。