「今日の理沙、何か変だったね」

帰宅時、陽菜が言った。

陽菜と俺は家が近いこともあり、下校は必ず一緒に帰宅する。

「そうやな。けどまぁ告られた後やったし、まぁ少しいつもと違うのはしゃーないんちゃう?」

「まぁそうだけど…」

陽菜はそう言って、口の中にガムをひょいっと入れた。

「なぁ陽菜?」

「うん?」

「今度の日曜さ、部活休みやんか?良かったら遊びに行かへん?」

俺がそういうと、陽菜はニコッと笑った。

「いいよ!じゃあ初デートだねッ。どこに行こっか?」

俺は、春ももう終わりだというのに未だに雪が微かに残る日本一の山を指差した。

「あれ登ろっか!」

「え、富士山?」

「うん」

「それはちょっと…」

そう言って苦笑いをした陽菜の笑顔が、夕日に照らされて紅く光った。