喧嘩してる2人と、止められなくなっておどおどしてる私の後ろに現れたのは海斗さんだった。

「か…海斗」

風音が驚く。

「通行人の邪魔をするな」

海斗さんはそう言って教室に入った。

「……」

さすがに風音も黙り込む。

「ごめんねぇ。海斗くぅん、先生今度から気をつけるねぇ」

うわ!さっきと態度変わってる!違いすぎる!

「じゃぁ伊藤さん、また今度ってことで、じゃぁね~」

高橋先生は海斗さんを見てウインクした後、私達に手を振って走り去っていった。

「……」

風音は無言だった、怒っているのか考え事してるのか、よく分からない。

海斗さんはため息をついた後、席に座る。

やっぱり、お礼言ったほうがいいよね
風音を止めてもらったんだし


でも今まで男子と話した事もない私がお礼なんて言えるはずがない
そして今日の朝の事もあるし。

いやでも、実際海斗さんは私のネガティブ発言は聞いてなかった分けだし....

いやでもダメだよ、私勘違いして変な行動とっちゃったし、「なんだあいつ気持ちわりー」とか思われてるかも。

いやでも感謝の気持ちは述べないと


勇気を出せ、私!

「あの!」

海斗さんが振り向く

「あの、ありが……」

「かーーーいとちゃん!」

ありがとう、と言おうとしたのだけど友哉さんの大きな声ではばまれてしまった。

「見たよ海斗ちゃん、珍しいな海斗ちゃんが女子の喧嘩止めるなんて。」

「うるせえよ、だいたい、ちゃんをつけるなって前から言ってるだろ。」

「わりー。でも本当珍しいよな、何で?」

「……じゃまだっただけだ。」

そういって海斗さんは私の方を見る。
それにきずいた友哉さんが問いかける。

「あれ?なんか話あった?」

「ううん、何もないです」

「そっか、海斗、あっちいこうぜ」


海斗さんは少しこっちを見た後、友哉さんに連れられどこかに行ってしまった。

結局、言えなかったな。