優子はいまや、学年中の話題の種だった。
しかし、優子本人はまったく気づかず、
そのまま入学式を済ませてあっさり帰ってきた。
着飾って高校の校舎を歩くのが、優子の憧れだったのだ。
優子にはそれで十分で、周りよりも自分のことで精一杯だった。
「あー楽しかった!高校って最高☆」
一人でベッドに横になってつぶやく。
憧れの格好で、憧れの場所で。
これから生活できるんだ。
うきうきする気持ちで眠りにつこうとしたとき――
「優子」
聞きなれた低い声で、名前を呼ばれた。
「んぁ?」
首をかしげて、ベッドから体勢を直した。
「・・・・いつからそんな悪い子になったのかな、優子?」
冷ややかな声、優子はびくっと肩を揺らした。
