エレベーターの中でもお互い無言だった。

チーン

虚しい音だけが鳴り響いた。


「じゃあ、これで・・・。」
加藤さんは言い終えるとドアノブに手をかけた。

「あのっありがとうございましたっ」

いえいえ・・・と彼女は頬を赤く染めて部屋に入っていった。

親切な人・・・・だな。

ガチャ

「ただいまー。」
「おかえり~っっ」

リビングから母さんが飛び出してきた。


「母さん・・・。腹いてぇから休ませて。」
「あらあら~お腹痛?信汰さ~ん!!」

チッ余計なことすんな。

「おっ優!腹痛いんだって?
これでも飲んどけ!!」

・・・・・セイロ丸??
医者じゃねぇの?これ、普通に市販の薬じゃねぇか。

「まさか・・・。飲めないって言うんじゃないだろうな?」

飲めとでもいうように薬を押し付けてくる。

「飲めますよ・・・。」

しょうがなく瓶から3粒とりだして口に含んだ。

うわっ。マズッ。

慌てて俺は水を流し込んだ。

「ぐぇ・・・」

あはは・・・と母さん達は笑っている。