・桂別荘宅・



「てめぇは何処をほっつき歩いてたんだこのドジ!このご時世に迷子とか恰好悪いぞ!阿呆!!!」


「いっ!!いっひ、いひゃいれす!!すいみゃへんれひさ!」



薫に路地裏から出る道(屋根に上って飛び越えていく)を案内してもらい、やっと帰れたと思ったら長い長い桂の説教の後、高杉によるお叱りを受けている最中だ。




「大体一番危ないといってた路地裏へわざわざ入ってく奴がいるか?」


「ここにいましゅ。」


空音が張り切って手を挙げた。


ぷちっ


誰かの堪忍の緒がちぎれる音がし、空音の頬をつまむ高杉の手に握力が更に加わる。



「おめぇだけだ馬鹿野郎!!!!」

「いひゃああああ!!!」



「そこらへんにしておいてあげなよ、晋作。空音の頬ちぎれちゃうよ?」


「栄太郎ひゃん・・・!!っ!い、いっひゃ、ひっはらないれー!!」


「お前見てるとなんか腹立つんだよなー。」


「あはは、晋作も素直じゃないなぁ。」


笑って茶化す吉田を恨めしく思いながらも、高杉は更に手に握力を込めた。


「いいいいっ?!いひぃ、ちゅめ(爪)が食い込んで・・・ッ!!!」


「黙れ。一生喋るな馬鹿。」


「ほら、晋作いい加減手離しなって。空音ー。甘味買ってきてあるから、食べる?」


「食べる!」


「栄太郎が甘やかすから空音はこんなに馬鹿なんだよ・・・」



高杉は大きく溜息を吐いた。