急いで着替える。
走りやすいように香織ちゃんが工夫して着付けをしてくれた。
「・・・よし、じゃあ・・・」
行くで?
と言おうとしたのか・・・
香織ちゃんの顔がこわばる。
そして声を潜めていう。
「ごめん・・・」
「え?」
気付いたときには、香織ちゃんは視界から消え失せていた。
「・・・・え?」
首筋のあたりに鈍い痛みが走る。
徐々に薄れてゆく意識のなかで、ささやくように聞こえる香織ちゃんの声。
「ごめんな・・・。運ぶには、走ってもらうよりこっちのほうが楽やねん・・・」
なぜかとても不愉快な気分になった。
・・・それと同時に誰かの舌打ちが聞こえた気がした。