「まだ寝ていらっしゃられますよ!ほら、雪子、旦那様がお呼びになっていらっしゃったわよ!」
いきなり襖を開け、もう一人の使用人がまくし立てるように饒舌にしゃべり、元いた使用人を立たせて出て言った。
『だめじゃない!お空様のことは、出雲様に内緒よ!そういわれたじゃないの!』
『ですが、いずれは・・・』
話が聞こえてくる。
多分、襖の前で会話しているのだろう。
聞き耳を立てる。
『そんなの、出雲様だけ生き残ってお空様が逝ってしまわれたと聞かされたらいくらなんでも出雲様が可哀相じゃない。』
『いくらなんでもって・・・』
『仕方ないでしょう、旦那様からお嫌われになられているんですから。なんせ妻の浮気が原因で出来た子ですもの。』
『だからそんなに似ていらっしゃらないのねぇ。お空様はお料理もお勉強もなんでも出来てたわね、出雲様の年齢の時には。みんなに好かれて、さすが旦那様の娘って感じがするわ。でもそんなの、出雲様に聞かれたらどうする気?旦那様、顔に出ないように今必死で堪えてらっしゃるのに。』
『・・・!!この部屋、』
急に声がひそひそとなって、ちゃんと声が聞こえなくなる。



