民家のおばさんは、急いで駆け付けてくれ、救急車を呼んでくれた。


母は、子宮筋腫だった。


大人の頭くらいに膨れあがった血の塊が、できていた。


血の塊は、2個。心臓付近にまで到達していた筋腫は、全身の血液を奪い、母を極度の貧血にさせていた。


子宮全摘出。
右卵巣切除。



母は、女であるが女ではなくなったようだと、手術後に、あたしにそう言った。



母が、体が悪くなると共に、家の中は、益々、冷え込みを増していた。



母が入院中、あたしは、父と会話一つしなかった。



あたしには、父親なんかいない。



あたしが、父と呼んでいる男は、ただの赤の他人だ。


あたしは、あの男を父親だと思わない。




そう心に決めた。