「わー、もうすっかり夜じゃん!!」
真っ暗になった空を見上げながら、
みうの早足に必死で付いて行く。
あたしたち高校生は、路地裏を通って警察の目を逃れながら繁華街へ向かった。
補導なんかたまったもんじゃない。
さらに、こんな格好で親の前に突き出されたくない。
絶対怒られるに決まってる。
嫌な想像をして顔をしかめてから、あたしは周りを見渡した。
派手な髪色をした女の子たちが騒ぎなら歩いてくる。
多分、この人たちもライブに行くのだろう。
ネオンの綺麗な建物が並び始めた時、みうがいきなり立ち止まった。
『ここ!!』
大きな扉を開けて中に入る。
たばこの匂いが鼻についた。
「お、おっけぃ・・・・」
みうが少し不思議そうに振り向いた。
『怖いの?(笑)』
あたしはむっとして首を振った。
不安になってるなんて地球が滅びてもバレたくない。
「怖くねーよ(笑)」
『なら、OK。』
ちょっとにやついた顔をしながら、みうは防音の扉を開いた。
広い部屋に、すでに何人か客がいた。
チケットを渡し、ドリンクを頼む。
信じられないような髪色の子達が、
信じられないような髪色の子と話し、
信じられないような髪色同士で盛り上がっている。
何もかもが新鮮すぎて、何かがみなぎっている気がしてきた。
ふとみうを見ると、
何か(誰か)を探すかのようにきょろきょろと辺りを見渡していた。
「どうした?」
あたしの声に、はっとしたように振り向くみう。
『いや、なんでもない』
あきらかに何かがある声で、みうは答えた。
あたしはみうの視線の先に何があるのかを探るかのように辺りを見渡した。
『あ、そうだ。』
『・・・楽屋、行く?』
みうが耳元で話しかけてきた。
「楽屋?そんなん入れるの?」
それにつられてあたしも小声になる。
みうは人差し指を唇にあてて、周りを気にする仕草を見せた。
なるほど、スタッフオンリーの場所か。
あたしは少し興奮しながらうなずいた。