* * *

――七ツ半。


みんな言われた通り、三々五々になってやってきた。
杏里も沖田と一緒にいろいろと寄り道しながら入った。
一歩会所に入ると空気が張り詰めているが意気揚々としていた。
来た者から身支度をはじめていた。
着物の下には鎖帷子を着込み小袴を履き、額には鉢金、
籠手や胴を着て防御を固めていた。


「うぇ…。重たいよ。これもう合戦じゃんか。」


のそのそと着替える杏里。


「仕方ないよ。斬られて死にたくないでしょ?」


うん、やっぱり平助Sだわ。
これ笑顔で言うことじゃねぇだろ。
確かに浪士たちが素直にお縄についてくれるはずはない。
土方さんは斬り合いになることを見込んで私たちに言ったんだ。


「総司、大丈夫?顔色悪いけど…。」
「そう?俺は元気だよ?気にしすぎ。」


俺はまだ倒れるわけにはいかないの。と杏里の頭をぐしゃっと掻き撫でた。
いつもなら杏里は抵抗するはずだが今日はしない。
浮かない表情で総司をじっと見ていた。


今の総司にこの重装備はきついはずなのに。
私は何もしてあげられない。
心配することしかできない…。