「はー。やっぱこっちの方が動いやすいや。」


ご満悦で廊下を歩く杏里に対して藤堂はというと――。


「ちぇ。女物着た杏里、可愛かったのに。」


隣でぶぅっと拗(す)ねるいた。


「ほんとにもったいない。女物着ればいいのに。」


さらに隣でうなずく沖田がいた。


「わっ!!?」
「なに、自然とここにいるんだよっ!」


きゃんきゃんと藤堂が吠える。


「良いじゃないか別に。平助―、朝からうるさい。」
「急に現れるからだろ!ったく、もう…。任務でもないのに気配消すのやめろよなー。」


心臓に悪ぃんだよ。と沖田に突っかかる。
杏里はため息をついて二人を見やった。


「可愛いくないし、女物なんて着にくいし、似合わない。」
「嘘じゃないのに…。」
「そういや平助、こんなとこで油売ってて良いの?土方さんに呼ばれてなかったっけ?」
「あぁっ!忘れてた!総司ありがとうっ!じゃぁね二人とも!」


急いで歩いて来た廊下を引き返す藤堂。沖田はやれやれという顔で見送る。