「…皆の力になりたい、です。」
「ほらっ、なぁに暗い顔してんの。」


沖田がビシッと杏里の額をにデコピンを喰らわした。


「痛っ!何すんだよ!」


杏里が抗議の声をあげる。


「お前の居場所は此処だろう?なぁ、近藤さん。」


土方がフッと笑って近藤の答えを促す。


「あぁ、そうだとも。生きる時代が違えどここにいる間は南君は我々の仲間だ。」
「って言うか、戦力になるのになんで追い出さなきゃいけないの?」
「ここにいろよ。お前が自分の時代に帰れるまでな。」


近藤、藤堂、原田が口々に言う。
見渡せば皆の顔は微笑んでいて誰も杏里を追い出そうとする者はいなかった。


「あーっ!杏里の奴泣いてやんの~!」
「泣いてなんかいねぇよっ!」
「嘘つけ、目ぇ真っ赤だぞ。」


永倉と藤堂が茶化しながら杏里の頭を撫で回す。
さっきまで悩んでた自分が馬鹿みたいだ。


「ありがとう…。これからもよろしくな。」


へらっと杏里が笑った。


「オラ、話済んだならさっさと寝ろっ!」


明日早ぇんだから。とぶつくさ悪態づく。


「痛ってぇ!さっきからなんで叩かれなきゃならないんですか!」


バシッと土方を叩き返す。するとまた叩き返す。
そんな二人を見る周りは楽しそうに笑った。ただ一人を除いて。


「ムカツク…。」
ぼそりと呟いて沖田は部屋から出て行った。
そっと部屋から抜け出した沖田はぼんやり廊下を歩いていた。

「総司。」

背後から声をかけら振り向くと斎藤が立ってた。

「一…。どうしたらいいと思う?」
「何がだ。主語を言え、主語を。」
「俺さ、あの子のこと好きになっちゃったみたいだ。」


困ったように笑う。斎藤は黙ったまま答えない。
でもね。と沖田は続ける。


「あの子は俺に振り向いてくれるかな。」
「お前の場合愛情表現がわかりにくからどうだろうな。」