「ああ、ここよ。もう大丈夫」 老婦人は、自ら車椅子を押し、病室へ入っていった。 「本当にありがとう」 老婦人は丁寧に頭を下げると病室の奥へと入っていった。 春樹は、思案気な顔のまま、その背中を見送った。