「お嬢様、やはりこのような話は苦手で……」

「うるさいわよ」


ぴしゃりとはねつけられ、おやおや、と春樹は肩を竦めた。


「とにかく、調べてみるわよ」

「はい」


春樹は、黒い寝間着にガウンを羽織り、点滴の刺さった腕をそのままに立ち上がった。


「体調が悪くなったら、すぐに戻るわよ」

「はい」


自分を心配する恵理夜の真摯な瞳に、深い安心感を覚えながら春樹は先立って歩き出した。