執事と共に雪遊びを。

「……それ、どんな音なの?」

「誰かが、歩いているような音だ、というのが噂ですね」

「歩いているような音?」

「はい、廊下のリノリウムではなく、外壁のコンクリートをゆっくりと歩いているような音だそうです」


恵理夜は、恐る恐る外壁を覗いた。


「配管が通っているわね」

「雨を逃がすための雨樋ですね」

「この音ではないの?」

「音が聞こえた時、雨の気配は無かったそうですよ。それに、水の流れる音とは程遠い形容です」