「……お嬢様。この絵、少し傾いていませんか?」


春樹は、目の前の絵のを見つめながら言った。

そこには、否応無しに目に入る大きな額の絵が飾られていた。


「傾いている?」

「はい。ほら……」


春樹は、点滴キャスターごしに絵を見ていた。

そのキャスターの鉄柱と、絵の縦枠が並行ではないのだ。

恵理夜は、床に手を着き、床と額の底辺が並行ではないことを確かめた。


「確かに、絵の内容は真っ直ぐなのに額が傾いている」