「お嬢様は、実際にこの前で転んだんですよね」

「ええ」


恵理夜は、あの時と同じように歩いた。

壁には、大きな絵が飾られ否応無しに視界に入る。

そして、その絵を通り過ぎようとした時――


「大丈夫ですか」


春樹が、恵理夜の腕をつかんでいた。

一瞬、地面に吸い寄せられるような違和感があった。

恵理夜は、背筋が冷たくなるのを感じた。