そのまま通り過ぎようとすると、 「早瀬さん?」 と、少し低めの声に呼び止められた。 振り替えると、速人の姿。 『何か?』 今考えると、なんて可愛げのない返事をしたんだろうと思う。 でも、速人は気にする様子もなく、 「ちょっといい?」 って私を非常階段に誘ったんだ。