「ここにいるだろ?」
「彼」は自分を指す。
「何…言って…」
確かに美里の姿だが中身は真逆だ。
「だから…俺の中に美里はいるの」
酸素が少ないからなのか言葉が理解しずらい。
「はぁ…君達の言葉で言うと二重人格ってやつだろう」
二重人格?
「だけど俺は俺だ」
二重人格については余り知識はないが主人格というものがあるらしい。
この場合は主人格は美里だろう。
主人格は他の人格がする事を覚えていないらしい。
そうだとすれば全ての辻褄が合う。
家に行った時、「彼」になっていたという事か。
だけど…。
「あなたはっ…実際に実在する…人間なのよね…?」
「そうだ」
ますます訳が分からない…。
異母兄妹だというがこれでは子供は1人だ。
「まぁ…そんな事はいい…君はもう死ぬみたいだしね?」
「最後っ…」
最後まで聞いていないっ…。
「もう言葉を理解するのは難しくなっているだろ?だがここまで人に喋った事はない…スッキリしたよ」
「まっ……テ」
「じゃあバイバイ…阿部せんせっ…」
「彼」の目から一筋の涙が浮かんでいた…。
何故だろう…。
美里…?
はははっ…もう駄目だ…。
最後に美里の笑顔…見たかったなぁ…。

