連絡もしないで吉川君の家に来てしまった。


でも、私は迷いもなくチャイムを鳴らした。



「は~い」



この声…どうして



ガチャ…



「あら、吉川君の元カノさん」


「どうして…」


「見て分かんない?」



今、私の目の前に居る人…



「愛菜さん…」


「名前、覚えてたんだ~」



私は、また泣きそうになった。
逃げそうになった。


でも、逃げないよ。



『何も変わらない』



由季が言った言葉を思いだしたから…


横には居ないけど心配してくれてる友達が居る。

その子に、由季にもう心配掛けたくないから…



「吉川君に…吉川君に会わせて」


「和也、会いたくないらしいよ?」


「そんな事、どうでもいい…私は…私はケジメを付けに来たの」



自分でも驚くくらいちゃんと言えた。



ケジメ…



私は、別れたい気持ちはない。
でも、さっきの愛菜って子の話を聞いたら吉川君は私と……


なら、最後でいいきちんと話したい。



「和也って甘えん坊なのね…」


「…………!?」