ふと、7年前を思い出す。
地域の少年野球チームで初めて“1”を貰ったとき、俺もこんな笑顔だったのだろうか……。
小学校2、3年生で構成されるCチーム。4、5年生で構成されるBチーム。6年生のみのAチーム。
Cチームで手にした“1”をAチームまで持ち続けた。
周りに敵は居なかった。
中学も“1”だった。
俺じゃなきゃ、誰が“1”をつけるんだ。
「良かったな」
俺は悠太の頭にポンと手を乗せ、リビングに行った。
机の上に置いてある、刺繍糸と針、待ち針などの裁縫道具に目が行った。
「それでな、兄ちゃん」
言いにくそうな顔をしている悠太に向かって手を差し出す。
「貸せよ」
「ありがとう!」
翔太は悠太からユニホームと“1”を受け取り、縫い付けた。



