『今日大雨らしいぜ』『まじかよ。傘持ってねーし』『6時からだろ?だったら大丈夫だ』
そんな声が、走っている翔太の耳に聞こえた。
…大雨?
美夏、傘持ってんのかな。
俺、チャリコだけど傘はある。
待っとこうか?
どーせ、体験入部の一年生は5時までだ。
美夏たち、春休みから行ってる一年生は6時まで。
…一時間か。
「おーい、お前ら野球部かー?」
野球部のグラウンドへ走る、三人に声をかけるのは、メガホンを持った三年生らしき人。
「うっす!」
「急げー、他の一年はもう来てるぞー」
「「「はいっ!」」」
走るスピードを上げ、小さな倉庫のような部室にエナメルを投げ入れ、練習着に着替える。
そして、グローブとスパイクを持ち、部員の元へ走った。



