「できてないよ。てか、こんなブスに彼氏なんてできる訳ないでしょ!」
真剣な遥兄ちゃんの顔に驚きながらも、あたしはそう笑い飛ばした。
「……男の匂いがする」
遥兄ちゃんがボソッとそう言った。
今日高校生のお客さんがいたからかなあ…?
「お客さんかなあ?そんなに匂いする?」
服に鼻を近づけてみるけど、そんなに匂わないし…。
「彼氏じゃないならいい。妃菜、呼びに来てくれてありがと」
遙兄ちゃんはそう言ってあくびをした。
遙兄ちゃんは陸上部のエースだもんね。
疲れてるんだろうなあ…。
あたしはこくりと頷いて遙兄ちゃんの部屋を出た。

