「もうすぐご飯よ!あ、妃菜ちゃん、悪いんだけど遥希呼んできてくれない?たぶん部屋で寝てるから」
美和ママがサラダを皿に盛りながら言った。
「はーい」
あたしはそう返事をして、階段を上がった。
そうそう、忘れるところでした。
あたしには家族がもうひとりいるんです。
あたしのひとつ年上のいとこ、遥希(ハルキ)。
あたしは遥兄ちゃんって呼んでる。
小さいころからいっしょだから、本当のお兄ちゃんみたいなの。
勉強教えてくれるし、信パパも美和ママもいないときはご飯も作ってくれるの!
すっごく優しくて、かっこいいお兄ちゃんなんだ。
「遥兄ちゃん、ご飯だよ」
遥兄ちゃんの部屋の前で言ってみるけど、全く応答なし。
まあ、寝てるって言ってたもんね…。
「遥兄ちゃん!ご飯!」
大きい声で言っても、応答なし。
どんだけ爆睡してるのよ…。
あたしは仕方なく遥兄ちゃんの部屋に入った。
本当、いつ部屋に入っても綺麗にしてるなあ…。
あたしだってこんなに綺麗にしてないのに!
若干のジェラシーを感じながら、遥兄ちゃんに近づく。
本当に熟睡してるんだ…。
うーん、起こすのかわいそうな気もするけどしょうがない!
「遥兄ちゃん!ご飯!」
遥兄ちゃんの耳に寄って大声で言うと、遥兄ちゃんは眠たそうに起き上がった。
「……妃菜?」
「ご飯だよ!下降りてきて!」
あたしがそう言うと、遥兄ちゃんは頷いた。
それを確認して、下に行こうとしたとき。
「妃菜、彼氏とかできたか?」
突然遥兄ちゃんが、そんなことを言い出した。

