あたしが何気なくその行動を見てたら、
「何だよ」
漆黒野郎にそう言われた。
「べ、別に…」
あたしはそう答え、すぐに下を向いた。すると、
「紅ちゃん」
あたしの名前を呼ぶ声がした。
「え?」
あたしは素っ頓狂な声とともに顔をあげた。
「何か飲む?俺、買ってくるけど」
「な、何で…あたしの名前……」
「あぁ。……ごめんね?悪気はなかったんだけど…。紅ちゃんを海から引きあげた時、服のポケットから財布がおちてね。その中に身分証明書が入ってたから」
「…そう…ですか……」
「じゃあ、俺飲み物買って来るね。紅ちゃん、何でもいい?」
「は、はい…」
そう言うと銀髪男は部屋から出てった。
それと同時に漆黒野郎が煙草に火をつけた。
「……」
「……」
お互い終始無言。ちょっと気まずい…。
それにしてもこの人達……。
一体、何者?

