すると奏がポケットから携帯を取り出した。
「俺だ。…あぁ。あー…あぁ。…あ?…あぁ。分かった。すぐ行く」
奏はそう言って電話を切ると携帯をポケットに入れながら立ちあがって出入り口の方に歩いて行った。
すると想叶が、
「幹部か?」
ワントーン低い声を出した。
「あぁ、そうだ。…お前はこなくていい。一人で行ってくる」
奏はそう言い放って部屋から出て行った。
「奏は相変わらず忙しそうだねぇ」
聖って人が出入り口の方をみながらそう言った。
「まぁね。あいつ、休みほとんどねぇから」
「休みねぇからって、お前ら暴走族に休みもくそも関係ねぇじゃん」
…え?
今…暴走族って……
この人…二人が暴走族だって事知ってんの…?
「言われてみればそうだね」
「ね、ねぇ…」
「何?」
想叶があたしに視線を向けた。
「あ、あの…そこの聖って人…想叶達が族だって事知ってんの…?」
「え、あー…うん。知ってるよ」

