まず最初に、健太に 向き直った。 「…ごめんね。あたし、健太の気持ちには答えられない」 広介は少し、目を見開く。 健太は――唇を、噛んでいた。 痛みに、堪えるかのように。 「だろ、…な。わかってたよ。佐原が好きなんだろ」 あたしはそれに、無言で 頷くしかなかった。